その時々

その時々で違うんです。特に決まっていないんです。

売買秘帖2

二 無謀な挑戦




ポケット株の仕組み


ポケット株とは、実際の株券を売買するのではなく、権利行使価格を極めて低く設定したカバードワラントだ。


ゴールドマンサックスという証券会社が値段を付けている。


どのようなものかというと、少しややこしい。


1万円のものを1円で買える権利の価格は9999円になる。


1万5千円のものを1円で買える権利の価格は14999円だ。


この権利を証券化したものがワラントである。


ポケット株は、この中でも5千円〜5万円で買えるように設定されている。


本当に安い物だと千円弱で買えるものまである。


トヨタなど、実際に購入するには何十万もする有名な会社の株がポケット株なら


本当にポケットマネーで買えるのだ。


株価の動きも、実際の株価に連動している。


カバードワラントというとギアリングといって、株価の動きを何倍かに激しくした物などが多いが、


ポケット株は、実際の株価の動きに近いので、安全だという。


 


ポケット株と普通の株と違うところは、配当・株主優待がないところ。


満期があるところ。


指値注文しかできないところである。


 


また、買値と売値で値段が違うというところにも注意してほしい。


 


現在のポケット株の取引手数料は、最低価格は500円である。


あまり安いポケット株を買っていては、ほとんど手数料で取られてしまう。


 


ポケット株の値を見てみると買値4.26、売値4.29などと表示されている。


この売値4.29×1000円が実際に購入に必要な金額となる。


これに手数料と消費税を合わせて4.29×1000+500+25=4815円が必要である。


4815円で買って、実際に利益がでるようになるには


この値段に手数料と消費税を足して、1000円で割った値を超えればいい。




(4815+500+25)÷1000=5.35


ポケット株の値段が5.35を超せば利益となるのだ。


この値を損益分岐点という。


 


初出陣


実際に、ポケット株を購入してみることにした。


資金は1万2千円。


株式売買するのに、資金は1万2千円だ。


あまりにも、ふざけている・・・


最初に買った銘柄はYahooだ。


そうインターネット検索サイトの超大手である。


この頃には、ただ知っている銘柄というだけで買っていた。


売値は6.59だった。


ポケット株は、ザラ場(市場が開いている時間9:00〜11:00、12:30〜3:00)に注文を出すと


すぐその場で約定(取引成立)かどうか分かる。


6.59で1000ワラント買って、手数料が525円で7115円だった。


それから、数日後に1万円をDLJディレクト証券の口座に振り込んだ。


約1週間後にまたYahooを1000ワラント購入した。


このときの売値は6.63だった。


金額にして7155円だ。


私の考えとしては、月に1〜2万円ずつ振り込んでいき、徐々に資金を増やしていこうという作戦だった。


12日後に、徐々に下がってきているので売ることにした。


その時の買値は6.35であった。


売上金額は、手数料を引いて12175円だった。


いきなりの損失である。


購入金額は7115円+7155円で14270円。


差し引き2095円の損失だった。


 


最初からは、うまく行かない物だと、このときは自分を慰めていた。


 


売れた資金で、すぐトランス・コスモスという会社のポケット株を買った。


売値が3.61で3000WR(ワラント)買った。


金額にして11355円である。


今回は1ヶ月と10日ほど持ってみたが、上がることもなく3.31で売ることにした。


損失1950円。


2万円の資金が、既に17952円になってしまった。


18%の損失である。


 


こうなってくると、ただ価格だけ見て売買していたのでは、うまくいかないと思い始めてくる。


このときにチャートという物を知ったのだった。


 


チャート


DLJディレクト証券には、マーケットスピードという便利なソフトがある。


このソフトはリアルタイムで株価が更新されていく他、チャートなども自動更新されていくのだ。


チャートの機能も豊富でいろいろな種類のチャートを眺めることができる。


 


始めに勉強したのが、日足、週足、月足のローソク足である。



このローソク足は、一目で株価の始値・高値・安値・終値が分かるようになっている。


日本より発足したチャートだ。


 


始値とは、ザラ場の寄り付き(始まった時間)の値。


高値とは、一番高かった値。


安値とは、一番安かった値。


終値とは、大引け(終わった時間)の値である。


 



このような感じで表記されている。


白色の四角で記されているものを陽線といい、始値より終値のほうが高かった場合は陽線で表示される。


黒色の四角で記されているものを陰線といい、始値より終値のほうが安かった場合に使われる。


また、形によって色々と名前と意味がつけられており、それにより強気・弱気を判断することができる。


詳しくは、http://www.asumiru.com/analyze/cv_c.htmlなどを参照するといいだろう。


また、3本の線が緩やかにカーブを描いているが、これらは移動平均線といって、


5日間・25日間・75日間などの株価の平均を線で結んだものだ。


このローソク足移動平均線は、ローソク足の形や、移動平均線の交差などを判断材料にしている。


 


また、一目均衡表というものもある。


これもよく使われているようだ。



ローソク足に、先行スパン1・2とその間の雲。


また、基準線・転換線・遅行スパンなどから形成されるチャートだ。


一目均衡表では、基準線と転換線の交差や、遅行スパンがローソク足の株価を抜けた、


または、株価が雲をつき抜けた、株価が雲に落ちてきたなどで判断するチャートだ。


色々と奥が深そうだ。


 


後は、RSIや、ストキャスティクスサイコロジカルラインなど、色々なオシレータなどもある。


 


初の利益


2度の損失で、落ち込むことなく、資金の2万円追加を実行した。


KDDIを2000WR買うことにしたのだ。


ローソク足を見て、下がってきたと思ったところで買ってみたのだ。


このときの売値が3.49で金額にして7505円。


その後、20日ほどして、さらに3.47で5000WR購入した。


金額は、17875円だ。


しばらくして、株価はどんどん上昇しだした。


 


このときには、どうしたらいいかということも少し勉強していた。


頭と尻尾はくれてやれという格言を参考にして、


天井を見てから売ってもいいのではないか?と考え


天井をつけた4、5日後に、もう上がらないだろうと判断し4.53で売ることにした。


31185円だった。


利益は5805円で、今までの損失を取り返すことができたのだ。


 


有頂天


利益を出してからは、この方法で行けば絶対儲かるという変な自信が湧いてきてしまった。


資金をさらに追加して、全部で6万2千円の投資資金になった。


現在の利益も含めた総資金は、63757円である。


2.8%プラスだ。


こうなってくると、お調子者の私は、さも相場の天才であるかのように思い込んでしまう。


その後、伊藤園で1620円の損失を出してしまった。


次に、いきなり単位株(通常の株式)に手を出してしまった。


資金が6万2千円しかないのにである。


 


ナスダックジャパンスターバックスコーヒーを1株買ってみた。


(現在では、ナスダックジャパンは名称を変更している。)


DLJディレクト証券では、単位株の取引手数料は片道1900円である。


消費税を合わせたら1995円である。


往復で約4000円も手数料がかかる。


ポケット株とは、大違いだ。


それもそのはず、単位株でこれほどまでに少資金で取引しないだろう。


スターバックスコーヒーは、結局株価も下がり、手数料と株価の価格差で


大幅なマイナスとなってしまった。


 


ここから、駄目押しのKDDIがくるのである。


 


狼狽買い・狼狽売り


資金も大幅に減ってしまい、滅入っていたときに


寄り付き前に、いつものように値板(マーケットスピードなどを使うと現在の値段でどれぐらい買いたい人がいるかわかる)を


眺めていると前日より大幅な価格の気配が表示されているではないか。


これは、何かすごいことが起きるに違いない。


そう確信した私は、資金全部を投入して、12000WR購入することにした。


寄り付きと同時に、指し値・指し値の連続でやっと買える事が出来た。


ポケット株では、寄り付き注文のような指定方法はないため、リアルタイムで指し値しなくてはいけない。


すると、どんどん株価が急落していくではないか・・・


どうしたことか、


後で聞いた話だが、SQのため(特別清算指数、オプション取引などの清算日)異常な気配値がついていたのだ。


ただ、株価が急落していくのを眺めていた。


少し戻してきたところで、我慢できずに売ることにした。


 


急に株価が上がっていくときに、飛びついて買ったり、


急に株価が下がっていくときに、飛びついて売ったりすることを狼狽買い(売り)というのだが、


これは、もう二度としないでおこうと心の中で誓ったのである。