その時々

その時々で違うんです。特に決まっていないんです。

売買秘帖5

五 目覚め


うねり取り

林先生の書籍を読んでいると、よく相場師の三種の神器という言葉がでてくる。

場帖・玉帖・資料を作成しなさいということだ。

詳しくは、後述する。

また、資料の中にはグラフも含まれている。

グラフは700×1000mmの1mm方眼紙(B1)に手書きで書いていかなければならない。

これが、また骨の折れる作業である。

書き方が分からなくて、株式サロンで書き方について質問していたところ、

株式サロンのトピックの主の還暦氏に、

「うねり取りをやるのですね?」

と、聞かれた。

うねり取りという言葉は、林先生の書籍の中で何度か出てきていたのだが、どのようなものかは、

はっきりとは理解していなかった。

 

そこで、株式サロンで師匠や還暦氏に教えを請うことにした。

あるときには、しつこいほど質問した。

間違った覚え方をしないようにするためだ。

 

うねり取りとは、簡単に言うと同じ銘柄の株価のうねりを分割売買などの売買技術を利用して

うねりという波に乗っていく技術だ。

基本的には、試し玉から入り、逆張りで分割し買い下がっていく。

株価が上昇し出したら、買い下りで建てた玉で利益を取りつつ、たまに反対の玉を入れる。

この反対の玉によって、次に来る下降の波の様子を探るわけだ。

波が下降しそうだと感じたら、売りの玉を建てつつ買いの玉を手仕舞いしていく。

このように、同一銘柄で何度も買い売りを繰り返し、利益を得るのだ。

 

はじめてうねり取りという言葉を聞く方には、よく分からない用語が出てきたと思うので説明しておく。

玉は、株式などの取引所で売買されるもののことで、ここでは株式の意味である。

試し玉というものは、最小単位の玉を建て(買う、または売る)波の感覚をつかもうとするために必要なもの。

株価を眺めたり、グラフを眺めたりしているだけでは、その相場の感じという物がわからない。

実際に、玉を建ててみて、はじめて実感する物があるのだ。

逆張りとは、株価が下がっている途中で買いの玉を建てていくこと。

その逆は順張りである。

 

話を元に戻して、なぜ同一銘柄で売買するのかであるが、

同一銘柄の株価(終値)を毎日受け止めていき、グラフを手書きで書いていると、

その銘柄特有の動きが頭に入ってくるようになる。

これを長い間続けていくと、株価の波が分かるようになってくるのだ。

これを変動感覚といい、シュミレーションや買ったつもり、売ったつもりのつもり商いでは養えない、

まさに実践と経験により培われていく感覚なのだ。

何銘柄も売買していたり、売買もしたことのない銘柄は、この変動感覚がないために

なかなか動きがつかめない。

ここで、はじめて師匠の言うグラフは手書きで書きなさいという意味が分かったような気がする。

 

 

場帖

場帖とは、値動きをデジタル感覚で受け止めるために毎日の終値を書きとめていくものだ。

相場師はこれがなくては始まらないといわれるほど、大切なものだ。

なれると手放せなくなる。

人によって書き方は、様々だが最低限、日付と終値と建て玉ぐらいは書いておきたい。

残り玉、寄付き注文値も書いておくといいだろう。

B4サイズの用紙で62行あるものを縦置きにして使うといいだろう。

3ヶ月またがり60日の波を見るのにちょうどいいらしい。

休みの日を空ける人と、空けない人がいるが、私は詰めて書くようにしている。

線は茶色のものが目が疲れなくていい。

また、記入はボールペンで記入する。

下図の例の建て玉に-1と記入されているが、これは株式の最小単位で表示する買いと売りの表示だ。

1000株単位の銘柄を2000株買った場合には、-2と記入する。

3000株売った場合には、3-と記入する。

残り玉は、現在の手持ちの玉数である。

上記の例を使うと、3-2の場合は、3000株の売り玉があり、2000株の買い玉を持っているという意味だ。

 

 

[場帖例]

 

場帖はどのように使うかは、今だ不明瞭なところがあるが、

毎日上がった、下がったを受け止めていく。

次の日の予測をしてはいけない。

今日5下がった。10日前からは20下がった。

だが、30日前からは、5上がっているのように、値動きを受け止めることに重点を置いて見ていくようにする。

これは、正しいかわからないが、最近上から目で追っていき、波の底の間隔の確認なども

なんとなくするようになった。

このようなことを、朝刊が来てから株価を拾い、記入し10〜15分程度実施していく。

ミニ株の場合は、その日の夜には済ませておかないといけない。

当日の朝には注文出来ないからだ。

 

玉帖

玉帖とは、売買の記録・余剰資金・利益・損失などを記入していく、資金管理の帳面だ。

どんぶり勘定を避けるために必要な物である。

これは、B4の用紙を横置きにして使う。

玉帖も場帖と同じように、ボールペンで記入する。

 

[場帖例]

? 売買している証券会社の名前を記入する。

? 口座名義名を記入する。

? 現金・株式・その他・合計の、最初に持っている金額を記入する。

? ページ番号、年-番号を記入する。 上図例では、2002年の1ページ目となる。

? 銘柄名を記入する。

? 売り玉の、年月日・枚数・値・金額を記入する。

  二分割で買い、一括で手仕舞いなどの場合は、上図例のように、下と一緒と省略し、

  最終買い玉の行に枚数・値・金額を記入する。

? 買い玉の、年月日・枚数・値・金額を記入する。(売り玉と記入方法は同じ)

? 利益を1行ずらして記入する。

? 余裕資金を記入する。売り玉・買い玉の売買の増減と残高。

? 利益合計を月ごとに記入する。月末にしめる。

 

資料

資料は、新聞・会社四季報をばらして同銘柄を台紙に貼り並べた物・グラフなどである。

私は、現在練習段階であるので、新聞・会社四季報などは、一切読まないようにしている。

情報により、雑音が入ってくるからだ。

ただ会社四季報は、読まないのに買ってもしょうがないが、過去の資料をそろえるときに困るかもしれない。

それで大和証券に口座開設するとPDFファイルで会社四季報が見れることができるので、これを印刷して取ってある。

ほとんど見ることはないが。

重要な物は、グラフである。

作る物は、大きなサイズの終値の折れ線グラフである。

グラフは、B1(700×1000mm)の1mm方眼紙を文具屋などで、是非そろえて欲しい。

小さいものより、大きなもののがいいのだ。

そして、作られたグラフは、大きなグラフとなりパソコンのディスプレイでみるグラフとは比べ物にならないぐらい見やすい。

グラフ用紙は、縦に使う。(1000mmのほうを縦にする)

縦に終値を1mmごとに、横に日付を2mmごとにボールペンで記入する。

まずは、点を記入し、点同士を線で結んでいく。

このときに、点と線の間を少し空けると見やすい。

株価100円ごとに横に鉛筆で線を入れる。

日付は、月ごとに縦に線を入れる。

毎日場帖をつけた後に、グラフを記入していく。

1枚使い切ってしまったら、2枚目を同じように作成し、2枚目の余白を切り糊付けする。

毎日続けることが重要である。

場帖がデジタル感覚なら、グラフはアナログ感覚である。

 

折れ線グラフは、日足よりも、株価のうねりが見やすい。

また、上げ下げがはっきりと出るのだ。

 

値板

値板とは、現在建てている玉数や、玉の平均値をすぐわかるように、カードに記入した物だ。

玉操作に慣れてくると、玉数も増えてくるため作成しておいたほうがいいだろう。

玉帖は携帯に不便なので、値板を携帯するといいだろう。

 

[値板例]

? 売り玉数を記入する。

? 買値・売値を記入する。

? 買い玉数を記入する。

? 下線の下には、平均値を計算して記入する。 例では、上が買い玉の平均値、下が売り玉の平均値。

 

勉強ノート

意外とつけてない人が多いのが、この勉強ノートだ。

学校に通っていたときには、勉強した内容をノートに書きとめていたはずだ。

何故か学校を卒業してしまうと、書かなくなってしまう。

覚えた事柄や、心得、今後はどのようにしていこうか、分からなかった用語の説明など

気付いたことをこの勉強ノートにつけていく。

全てが頭の中に入っているという人は、滅多にいないだろう。

何かしら忘れていくものだ。

特に売買技術に関する技法や、心構えは書き留めていったほうが、覚えも早い物である。

他の道具は、実際に売買に関係する物だが、勉強ノートは自分自身を成長させる重要な役割を持っている。

面倒くさがらずに作って欲しい。

ルーズリーフの片面に、ボールペンで記入していく。

こうすると、差し替えて整理するときにやりやすいからだ。

 

 

道具の重要性

マチュア投資家は、面倒くさがってなかなか道具を作ろうとしない。

相場をやろうというからには、お金を儲けることが目的であろう。

お金を儲けるのに、帳面もつけないで手軽にお金儲けしようという考え方が甘いのだ。

プロの投資家は、道具の重要性を分かっていて、きちんとしたプロの道具を使用している。

マチュアだからではなく、アマチュアだからこそ、プロの真似をしなくてはいけないのではないだろうか。

そして、自分の物にしなければいけない。

市販されているものは、誰でも買えば使うことが出来る。

手で作った道具は、市販されてはいない自分独自の道具なのだ。

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