初心者脱皮への道19
欲望と恐怖
売買法、あるいはシステム通りに売買できないことの原因に、欲望と恐怖という心理があります。
この二つは、はっきりいって邪魔な存在であります。
といっても、人間の心理の大部分を締めるものですから、断ち切るには無理があります。
人間は欲望に支配され、それを押さえながら生きていく生き物であります。
ときに恐怖が生じれば、押さえていた本能が剥き出しになり、予想外の行動を起こしてしまうでしょう。
それほど、人間は欲望と恐怖という心理に左右されやすいのです。
それは相場において顕著に表れます。
恐怖心により、投売りをしたり、損切りラインで切ることをためらったり、
欲望により、塩漬株を抱えたり、利食い出来なかったり、仕掛けるべきでないところで仕掛けてしまったり、
結果として良くない行動をしてしまうのです。
まずは、恐怖心を持たないこと。
というより、恐怖心が出るような売買はしないことです。
1回1回の売買では、どうせ勝てるか分からないのですから、 毎回、怖がっていては身が持ちません。
玉を建ててから、思惑通りに動くか、逆に動くかは、誰にもわからないことなのです。
よく当たるテクニカル指標を手にしたとしてもです。
それは、たったひとりの行動によって、覆されてしまうのです。
前回、こういうパターンで、転換したから、そのときと全く同じパターンなので、 今回も転換するだろう。
ということは、100%ないのです。
前回のそのパターンのときに、形成されていた売り方、買い方の状況、
また、それを持っていた人たち、その人たちの考えが全く同じになることは、 ほとんどないでしょう。
そこで、あるひとりの人が、転換させないように注文をしたら、 そのパターンは、それで崩れます。
そういうものなのです。
ですから、100%ではないわけです。
といっても、少しでも有利に予測することは、出来ないわけではないです。
そして、玉を建てる前から、その売買のリスクというものも分かっていなくてはいけないですし、
思惑と逆に動くことも、想定しているのですから、損切りラインに到達したとしても、 何をためらうことがあるのでしょうか?
損切りラインに達することは、コイン投げでいう裏が出ただけなのです。
コイン投げで、裏がでたからといって、すごく恐怖を受けるでしょうか?
そういった意味では、恐怖心が出ること自体おかしいことなのです。
これは、成功するトレーダーにとっては、なぜ損切りをして悔しがったり、
思惑と逆の方向へいくからといって、怖がったりするかは不思議だそうです。
恐怖心が出ることによって、本来決めていた行動をとれないかもしれないですし、
利食いも本来決めていた位置より、全然下の、小さな利食いしか出来ないかもしれません。
ですから、一回一回の売買で、怖がったりすることはないのです。
そして、欲望を抑えることです。
欲望は、全てにおいて邪魔をします。
欲望を持つなとは言いません。
抑えることです。
厳しい自己規律により、抑えなくてはいけません。
本来株価は、どちらに動いていくかは誰にも分からないものと、先程にも書きました。
未来のことは誰にも分からないのに、欲望により期待してしまうからいけないのです。
自分に都合のいいように、 想像は膨らみます。
それは、思惑と同じに動いても、逆に動いても同じことです。
思惑と同じに動けば、今現在より先の未来のことまで、期待してしまうことにより、
利食いをためらわせます。
思惑と逆に動けば、この先いつかは、自分に都合のいいところまで戻ってくると期待することにより、
損切りをためらわせます。
しかし、それは50%しか保証されないのです。
50%は、期待を裏切るのです。
今現在の状況から、さらに良くなるか、悪くなるかは50%。
今現在の位置であれば、その状態は100%保証されているわけです。
含み益が乗っていれば、今現在の位置で確定すれば、それは100%保証されます。
その先は、さらに含み益が増えるか、含み益が減るか、そのままかは、まったく保証されないのです。
含み損を抱えていれば、今現在の位置で確定すれば、それだけの損失で済むことを100%保証されます。
その先は、含み損が減るか、さらに悪化するか、そのままか、これもまったく保証されないのです。
玉を建てる前から、建てた後、手仕舞いするまで、全てにおいて欲望は付きまとうのです。
それは、期待という自分にとって都合のいい心理でしか物事を考えていないためです。
どうして期待する必要があるのでしょう?
未来のことは、誰にも分かるはずもないのに、期待するからいけないのです。
期待するから、思惑と逆に動いてしまったときに、対処できないのです。
期待していなければ、どちらに動いても当たり前のことなのです。
期待、それは、相場をするのに必要のない心理であります。